日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

gid2変異体はGAシグナル伝達系抑制因子SLR1タンパク質を蓄積している
*伊藤 博紀佐々木 章江五味 剣二上口(田中) 美弥子北野 英巳芦苅 基行松岡 信
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 647

詳細
抄録
SLENDER RICE1 (SLR1) 遺伝子は、イネ恒常的GA反応型徒長型変異体, slr1, の原因遺伝子であり、ArabidopsisにおけるGAレスポンスの抑制因子GAI/RGAのオルソローグである。これまでのSLR1タンパク質の機能解析の結果から、茎伸長をはじめとするGAレスポンスはGAのシグナルが核に局在するSLR1タンパク質を分解することによって引き起こされることが明らかにされている。
我々はこのGAレスポンスを司るGAシグナル依存的なSLR1タンパク質の分解機構を解析するために、gid1gid2と名付けた2種類のGA非感受型矮性変異体を単離・同定した。最近、gid2変異体の原因遺伝子の単離に成功し、GID2遺伝子はユビキチンリガーゼ複合体(SCF複合体)の1因子であるFボックスタンパク質をコードしていることを明らかにした。このgid2変異体では、SLR1タンパク質のGA依存的な分解は観察されず多量なSLR1タンパク質が蓄積していた。さらに、gid2変異体において蓄積しているSLR1タンパク質はリン酸化型と非リン酸化型の2つの状態で存在することを明らかにした。これらの結果は、SLR1タンパク質はSCFGID2複合体の標的分子であるとともに、SLR1タンパク質のリン酸化がSCFGID2を介したタンパク質分解へと導くことを予想させる。
本研究の一部は、生研機構基礎推進事業の支援で行った。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top