日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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光合成水分解系の分解と再構成
*藤谷 倫江板東 未季大坪 繭子田村 典明
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p. 656

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抄録
水を分解し酸素を発生させる反応は、チラコイド膜ルーメン側の光化学系2酸化側に存在するマンガンクラスターで触媒される。この光合成水分解系の機能単位は、光化学系2反応中心タンパク質、CP47といったクロロフィルタンパク質、膜表在性タンパク質等の成分から構成されていると考えられているが、その最小の単位はまだ明らかになっていない。
そこで、ホウレンソウから単離した光化学系2標品を、界面活性剤であるスクロースモノラウレート(SML)で処理し、マンガンクラスターを欠いた光化学系2コア複合体(D1/D2/CP47/Cyt b559 /Iタンパク質)を調製した。また、この過程でコア標品から遊離してきた、Lタンパク質などを含むSML抽出物をさらに精製し、数種のタンパク質を得た。SML抽出物に含まれるLタンパク質はQA活性の回復に関与していると考えられていることから、光化学系2コア複合体と低分子タンパク質との再構成を行った。電子伝達活性やMn2+のマンガン高親和性結合部位への結合能を測定した結果、この再構成により水分解系の酸化側あるいは還元側の回復がみられることが分かった。さらに、この標品を用いて、マンガンクラスターを再構築するために光活性化処理を行ったところ、ある程度の水分解能力の回復がみられた。
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© 2003 日本植物生理学会
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