日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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赤外分光法による光合成水分解系における水分子の反応の検出
*野口 巧杉浦 美羽
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p. 657

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抄録
 ラン藻及び植物の光化学系IIにおける水分解(酸素発生)反応の分子機構については、そのほとんどは未だ不明である。その解明のためには、基質水分子の反応の詳細を分子レベルで明らかにすることが重要である。我々はフーリエ変換赤外分光法(FTIR)による水分解系の構造と反応の解析を行い、閃光誘起S状態遷移の際の、蛋白質の反応を調べてきた。今回は、水のOH伸縮振動に焦点を当て、水分解系における水分子やその反応中間体の反応を、FTIR用いて直接検出することを試みた。
 Synechococcus elongatusの適度に水和したコア蛋白質を用い、各閃光誘起S状態遷移の際のFTIR差スペクトルを測定した。得られたスペクトルのOH伸縮振動領域には、一閃光で3617/3588cm-1に微分形のバンドが、また、2,3,4閃光では、それぞれ、3634、3621、3612 cm-1に負のバンドが観測された。これらのバンドはD2O置換で~940cm-1、H218O置換で~10cm-1の低波数シフトを示し、Mnクラスターにカップルする水に由来するバンドであることが示された。また、各閃光照射におけるピーク位置の違いや、2-4閃光での負の強度は、特定の構造を持った基質水分子の反応を表していると考えられた。このように、FTIRは、光合成水分解反応の分子機構を調べるのに有用な手法であることが示された。
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© 2003 日本植物生理学会
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