抄録
高等植物PSIIでは表在性33 kDa蛋白は膜蛋白に直接結合できるが、23 kDa蛋白は33 kDa蛋白を介して、17 kDa蛋白は33, 23 kDa蛋白を介して結合することが知られている。一方、同タイプの表在性蛋白を持つ緑藻クラミドモナスPSIIでは、33 kDa蛋白のみならず 23, 17 kDa蛋白も単独で膜蛋白に結合できることを最近、我々は報告した (Suzuki et al. Plant Cell Physiol. in press)。本研究ではこの違いが何に起因するかを明らかにするために緑藻と高等植物間の表在性蛋白の相互置き換え再構成実験を行った。その結果、緑藻のみならず高等植物の23, 17 kDa蛋白は緑藻PSIIには単独で結合できるが、高等植物PSIIには単独では結合できないことが明らかになった。この事は、高等植物と緑藻における表在性蛋白の結合様式の違いはPSII膜蛋白の違いに起因していることを示している。さらに両タイプの表在性蛋白の種々の組み合わせの相互置き換え再構成実験の結果についても再結合による酸素発生の回復と合わせて報告する。