日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

葉緑体形質転換によるPsbLサブユニットの機能解析
山田 尚吾恩田 弥生岩田 達也椎名 隆*豊島 喜則
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 660

詳細
抄録
 我々は、以前、ホウレン草の光化学系II(PSII)複合体を用いたin vitroの再構成実験により、PSIIサブユニットの一つPsbLタンパク質がpH 5.5以下でのPSIIのYz(第一電子供与体)からP680への電子移動に関与していることを報告した。本研究では、葉緑体形質転換法により、タバコのpsbL遺伝子欠失体 (psbL欠失体)を作出し、psbL欠失が葉の生育状況と PSIIの電子移動活性(PSII活性)に与える影響を調べた。
 psbL欠失体は光独立栄養的には生育しないが、スクロース存在下では生育する。植物体の頂端部近くの若い葉(頂端部から数えて第1、第2葉)では、PSII複合体(PsbL欠失)は存在し、PSIIの集光性クロロフィル結合タンパク質群(LHC2)も野生株と同程度に存在するにも関わらず、PAM測定から求めたPSIIの光電子移動活性は野生株の1/10程度であった。すなわち、アンテナクロロフィルにより吸収されたエネルギーはほとんど光化学反応中心P680には伝わっていない。さらに、葉の成長が進むにつれて葉(第3葉以下)の退色がはじまり、第5,6葉ではほとんど白色に近くなる。しかし、このような葉でもPSIIの光電子移動活性は若い葉と変わりなく、野生株の1/10程度は保持している。これらの結果とin vitroの再構成での結果に基づき、PSIIの電子移動調節におけるPsbLサブユニットの役割を検討する。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top