抄録
シトクロムb-559(cyt b-559)は光化学系II(PS II)を構成するコア蛋白質の一つである。PS II反応中心当たりのcyt b-559の数に関して永く論争されてきた。ある研究報告では1,別の報告では2,またその中間の値と一致が見られない。
この研究で,我々は,まず初めに高熱ラン藻,Synecococcus vulcanus (S.v.)より高い酸素発生能を保持した光化学系IIを精製した試料(結晶化に用いたと同等の試料)を用いた。Chl aの濃度を基準にして,HPLC法によりS.v.の反応中心濃度(2個のpheo a当たり)および同一標品の還元-酸化差吸収スペクトルを波形分離処理して得られたスペクトルからcyt b-559の還元-酸化差分子吸光係数を求めた。この標品は反応中心当たりそれぞれ一個のcyt b-559とcyt cを含みX線結晶解析結果と一致した。
さらに,ホウレンソウPS II中のcyt b-559の数も求めた。