抄録
RIKEN Arabidopsis Genome Encyclopedia (RARGE)はシロイヌナズナの完全長cDNAやトランスポゾン変異体をはじめとする基礎的なゲノムリソースデータを提供するWebデータベースとして開発されてきた。この度、RARGEを大幅に改修し、リソースの違いを意識せずに機能喪失型変異体および機能獲得型変異体の表現型とその遺伝子機能による検索・閲覧を可能にし、遺伝子機能理解の側面を強化したシステムとなった。これまでに4つのシロイヌナズナ変異体表現型データベースからデータを収集し、51991変異体分の情報を統合した。各変異体の植物体画像、表現形質、表現形質への関与が想定される遺伝子についての情報を収録した。変異体の表現形質記述は、各研究機関により異なる定義、または自由記述がされてきたが、本活動により、各種オントロジーを用いて再定義することで記述表現を統一し、効率的な情報検索を可能にした。また同時に、開発・運用環境も刷新した。大きな変更の一つはデータベース・スキーマの全面的な再デザインを伴うデータベース管理システムの変更であり、もう一つはWebアプリケーション・フレームワークの利用である。その結果、遺伝子アノテーションとデータベース検索機能および利便性が大幅に向上した。