日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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硫黄栄養に応答してGFP蛍光を変化させる形質転換シロイヌナズナであるNOBの変異株の解析による硫黄栄養関連遺伝子の探索
*笠島 一郎大鎌 直子林 浩昭米山 忠克内藤 哲藤原 徹
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p. 696

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抄録
ダイズ種子貯蔵タンパク質βコングリシニンのβサブユニットをコードする遺伝子の発現は、硫黄欠乏(ΔS)により転写レベルで増加する。βサブユニット遺伝子のプロモーターの硫黄栄養応答領域をカリフラワーモザイクウィルス35S RNAプロモーターに挿入しGFP遺伝子に繋いだコンストラクトを導入した形質転換シロイヌナズナであるNOB株は、ΔSでGFP蛍光を増した(Ohkama et al. 2002)。NOB株をEMSで処理したM2植物から、GFP蛍光の強度が変化したものを選抜し、その解析を行っている。nbm2-1は通常及びΔS条件で2週間栽培した植物において蛍光強度が強くなった。植物体のサイズは小さかった。また、通常の条件で2週間栽培したこの変異株では硫黄欠乏のシグナル物質であるO-アセチル-L-セリン(OAS)と硫黄充分のシグナル物質であるグルタチオン(GSH)の両方の濃度が増加していた。他に、システインの濃度が増加し、硫酸イオンと硝酸イオンの濃度は減少した。また、ΔSで誘導されることが知られている硫黄代謝関連遺伝子であるSultr2;2、APR1、SAT1のmRNA量が増加していた。現在この変異株の原因遺伝子の同定と生理的解析を行っている。
Ohkama, N. et al., Plant and Cell Physiology 43(11): 1266-1275 (2002)
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© 2003 日本植物生理学会
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