抄録
我々は、イネ培養細胞(Oryza sativa L. japonica cv. Nipponbare)にエリシターまたは電気的刺激(30V, 30sec)を作用させることで、細胞外から細胞内へのCa2+流入により細胞内Ca2+濃度が一過的に上昇し、これがトリガーとなってキチナーゼ遺伝子が発現することを明らかにしている。また、このCa2+流入には、阻害剤などを用いた実験から電位依存性Ca2+チャンネルが関与していることも明らかにしている。そこで本研究では、イネCa2+チャンネル遺伝子をクローニングし、その機能を解析することを目的とした。
Arabidopsis thaliana由来電位依存性Ca2+チャンネルAtTPC1の配列をもとに、RT-PCRによるクローニングを行った結果、新規のイネCa2+チャンネル遺伝子(OsCC1:2791bp)が得られた。このOsCC1は、AtTPC1とアミノ酸レベルで高い相同性(70%)を示している。そこでOsCC1タンパクの機能を解析するために、OsCC1を酵母のCa2+チャンネル欠損株に導入し、45Ca2+の取り込み能を測定した。その結果、コントロールと比べて有意にCa2+の取り込みが認められ、OsCC1がCa2+チャンネルであることが示唆された。