日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナSNARE分子の細胞内局在の系統的解析
*佐藤 雅彦植村 知博
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p. S19

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抄録
高等植物の細胞内小胞輸送系は、形態学的研究、生化学的な研究などから他の真核生物の細胞内小胞輸送系に比較しても非常に複雑であることが示唆されてきた。特に動物のリソソームなどと相同な細胞内酸性小器官である液胞は、加水分解型液胞、タンパク質貯蔵型液胞など複数の機能を持ったもの存在し、それぞれの液胞へ固有の経路があることが示唆されている。しかしながら、現時点において植物では細胞内輸送を司る分子群の解析が十分に行われていないために、実際、どのような分子が各々の細胞内輸送経路に関与しているかは不明であった。我々は、シロイヌナズナゲノムよりv-SNAREをコードすると推定される遺伝子を24種類同定し、それらの発現をRT-PCR法で確認の後、発現しているものについて全てGFP融合タンパク質を用いて全ての細胞内局在を明らかにした。更に、これらの分子の類似性と細胞内局在を元に他の真核生物のv-SNAREとの系統関係を解析すると、小胞体、ゴルジ体に局在するv-SNAREについては種間で高い相同性が見られたが、ゴルジ体以降、エンドソーム、液胞などの局在するものについては種間で有意な相同性が見られなかった。このことから、植物細胞ではゴルジ体以降の小胞輸送系は独自に進化し、植物特有の複雑な輸送系を構築したことが示唆された。また、併せてt-SNARE分子の局在についても議論する。
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© 2003 日本植物生理学会
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