日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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3' UTR領域を用いたRNAiによる遺伝子特異的な発現抑制
*三木 大介森藤 暁島本 功
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p. S48

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抄録
RNAiは、導入したdsRNAと相同な mRNAが分解・発現抑制される現象である。現在では様々な生物種において用いられており、ポストゲノムの非常に有効な遺伝子発現抑制の手法である。
 線虫のRNAiではRdRPが、導入したトリガーdsRNAより上流に新たなdsRNAを形成する。この新たなdsRNA領域と相同な配列を持つmRNAもまたRNAiの新たなターゲットとなる。この現象を「二次的なRNAi」という。植物におけるRNAiと類似した現象PTGSにもRdRPは必要であり、二次的なRNAi様の現象も報告されている。よって遺伝子ファミリーに属する遺伝子をターゲットにRNAiを起こすと、二次的なRNAiにより遺伝子ファミリーすべての遺伝子が影響を受けると推測される。
 我々は耐病性シグナリングなどの重要な生理機能を持つOsRac遺伝子ファミリーを用い、遺伝子ファミリーに対するRNAiについて研究を行った。OsRac遺伝子は低分子量Gタンパク質をコードしており、高く保存されたコーディング領域と、各遺伝子特異的な3' UTRからなる。この特異的な領域をトリガーdsRNAとして発現する形質転換イネでは、ファミリーに属する7遺伝子がそれぞれ特異的に抑制されていた。
 以上より、遺伝子特異的な配列をdsRNAとして発現する形質転換体では、高度に保存された遺伝子ファミリー中の一遺伝子であっても、その遺伝子特異的な抑制が可能であるということが示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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