日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体RNase破壊シロイヌナズナ変異株の単離
*岸根 雅宏高林 厚史遠藤 剛佐藤 文彦
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p. 018

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抄録
大腸菌におけるRNAの分解機構は、連続した複数の過程からなる。まず、分解されるRNA分子は、エキソ型のRNase Eによる切断を受ける。その分解断片は、3’末端にポリ(A)付加を受け、その後エキソ型のpolynucleotide phosphorylase (PNPase)、もしくはRNase IIによる分解を受ける。葉緑体は、進化的にその起源を原核生物型の光合成細菌に持つと考えられており、遺伝子発現機構にも多くの共通点を含んでいる。そこで我々は、これらのRNA分解に関与する葉緑体RNaseの同定を目指し、シロイヌナズナT-DNA挿入変異株におけるRNaseホモログ破壊株の探索を行った。候補変異株の中から、葉色、生育、クロロフィル蛍光をもとに選抜を行い、RNase E、PNPase及びRNase II/Rの3種の葉緑体RNase候補遺伝子の破壊株をを単離した。PNPase破壊株は、葉の基部が退色する表現型を示した。また、RNase E及びRNase II/R破壊株は、光独立栄養条件下では生育できず、これらのRNaseが葉緑体のRNA代謝に重要な役割を担っていることが示唆された。現在、これらの破壊株について詳細な解析を行っている。
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© 2004 日本植物生理学会
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