日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナタグラインから得られた pale-green 変異体 apg6 の解析
*明賀 史純本橋 令子山崎 高紀黒森 崇永田 典子篠崎 一雄
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p. 019

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抄録

  葉緑体形成や色素合成に関与する遺伝子を調べるうえで、葉緑体機能が欠損(アルビノ)あるいは低下した(pale-green)変異体の解析は極めて重要である。
  我々はこれまでに、トランスポゾン Ac/Ds 挿入変異体の幼苗期表現型の探索により、数多くのアルビノまたは pale-green 変異体 (apg: albino or pale green) を同定した。その中の1つの pale-green 変異体 (apg6) は、熱ショック蛋白質 Hsp101 のホモログ遺伝子内にトランスポゾンが挿入していた。我々はこれまでにリバータントを単離し、APG6 遺伝子内の異なる位置に Ds または T-DNAが挿入した3つの Allele全てが pale-green の表現型を示すことから、この遺伝子の欠失が原因で pale-green の表現型を示すことが明らかとなった。 APG6 遺伝子がコードするタンパク質の N 末には葉緑体移行に必要なトランジットペプチドが存在し、膜貫通ドメインは存在しない。また、電子顕微鏡による葉緑体の形態観察から apg6 変異体では野生型に比べ葉緑体の大きさが小さく、チラコイド膜が未発達であった。APG6 は熱により強く発現誘導されることから、APG6 タンパク質は葉緑体移行のシャペロンとして葉緑体内ストロマで重要な働きを担っていると考えられる。

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© 2004 日本植物生理学会
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