日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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エーテル処理光化学系I反応中心の遅延蛍光ダイナミクスの温度依存性
*柴田 穣笠原 隆史赤井 新平伊藤 繁池上 勇
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p. 063

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抄録
凍結乾燥した光化学系I(PSI)粒子粉末を、水を含んだジエチルエーテルで処理すると、P700活性を保ったまま大部分のアンテナクロロフィル、カロテノイド及びキノンが抽出され、PSI反応中心の電子伝達反応を観測しやすくなる。また、キノン除去により増大した電荷再結合反応によりP700の励起状態(P700)が生成し、数10 ns程度の寿命を持つ遅い蛍光(遅延蛍光)が出現する。遅延蛍光成分の相対強度、寿命の温度依存性から、電荷分離状態(P700+-A0-)とP700間の自由エネルギー差に関する情報が得られる。半導体レーザー(405 nm、パルス幅50 ps)でエーテル処理PSI試料を励起し、ストリークカメラを用いて77 Kから270 Kまでの温度範囲での試料の蛍光減衰ダイナミクスを測定し、遅延蛍光の相対強度、寿命を求めた。その結果、以下のような傾向が観測された。1)200 K以上の温度領域では、温度降下とともに遅延蛍光成分の相対強度が減少する。2)200 K以下では、温度降下とともにいったん遅延蛍光の相対強度は増加し、その後150 K以下で再び温度降下とともに減少する。講演では、低温でエネルギーギャップが分布を持つことなどを考慮してデータを解析し、PSI RC内での初期電荷分離過程のエナジェティクスを議論する
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© 2004 日本植物生理学会
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