日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光誘導性遺伝子発現制御における3量体Gタンパク質の機能(フィトクロムA下流の情報伝達系での役割)
*稲垣 言要藤澤 由紀子吉積 毅徳富 哲超 麗山本 直樹岩崎 行玄松井 南
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p. 074

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抄録
フィトクロム反応は、超低光量反応(VLFR)、低光量反応(LFR)、遠赤色光誘導強光反応(FR-HIR)に分類することができる。典型的な光誘導性遺伝子であるLHCBは、これらの反応全てにおいて発現誘導を受けるが、個々の反応を引き起こしている情報伝達系に関する知見は乏しい。我々は、3量体Gタンパク質が光誘導性遺伝子発現制御においてフィトクロム下流の情報伝達に関わっているかを検証するため、このGタンパク質のαサブユニットに変異を持つイネdaikoku (d1)変異株を種々の光照射条件下で解析した。d1変異株では、光誘導性遺伝子の発現がVLFRとFR-HIRを誘導する条件下で有意に低下していた。一方LFRは、光誘導性遺伝子の発現レベルが明瞭な赤/遠赤色光可逆性を示すことから正常であると推測された。d1変異株における分光学的活性型フィトクロムの量は正常で、この変異株は光受容よりも情報伝達能に欠損があると解釈された。加えて、構成的に活性型のαサブユニット(Q223L)を発現した形質転換イネは、微弱な遠赤色光照射によって光誘導性遺伝子を有意に多く発現した。これらの結果を総合すると、3量体Gタンパク質αサブユニットは、フィトクロムA下流においてVLFRとFR-HIR反応の両方を誘導する情報伝達系の正の制御因子として機能している可能性を示している。
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© 2004 日本植物生理学会
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