日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネ細胞のアルミニウム耐性機構の解析
*山本 洋子山口 峰生力石 早苗平舘 俊太郎松本 英明
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 109

詳細
抄録
イネはアルミニウム(Al)に強い作物であるが、その耐性機構は不明である。本研究では、イネのAl耐性を細胞レベルで検討するために、ニッポンバレ由来の培養細胞株と、比較のためにタバコ培養細胞株(SL)を用い、Alに対する応答反応を解析した。
 イネ細胞はタバコ細胞よりもはるかに高いAl耐性を示すが、NaClに対する感受性は同程度であった。タバコ細胞に比較して、イネ細胞ではAl吸着量が抑制されていたことから、イネ細胞におけるAl吸着抑制機構について検討した。NMR解析の結果、イネ細胞の外液に存在するAlイオンは大部分モノマーであった。従って、イネ細胞がキレート物質を放出してAlの吸着を抑制している可能性は低い。イネ細胞とタバコ細胞の細胞外液のpH変動ならびに原形質膜画分のH+-ATPase活性を比較検討した結果、イネ細胞では原形質膜のH+-ポンプ活性を高めることによってアポプラスト領域のH+濃度を高め、陽イオンであるAlイオンの吸着を抑制している可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top