日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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塩ストレス下の塩生植物Atriplex nummulariaにおけるS-adenosylmethionine synthetaseの発現誘導
*多淵 知樹川口 裕介東 哲司南森 隆司安田 武司
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p. 116

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抄録
 ベタインを蓄積する植物のベタイン生合成経路にはS-adenosylmethionine synthetase(SAMS) とcholine monooxygenase(CMO)が関与している。SAMSは他の物質の生合成経路、たとえばリグニンの合成経路等にも関わる。我々はアカザ科の塩生植物Atriplex nummulariaより推定のSAMSCMO遺伝子をクローニングし、それぞれAnSAMSAnCMOと名付けた。葉や茎においてAnSAMSのmRNA量と蛋白質量は塩処理により上昇した。AnCMOのmRNA量と蛋白質量は根より葉や茎で高く、塩処理により上昇した。塩処理時と塩除去時の葉におけるAnSAMSの転写量の調節パターンはAnCMOのそれと非常に似ていた。この植物の葉のベタインとリグニンの含有量は、SAMSが合成に関与する他の物質の含有量に比べ非常に高い。その葉におけるベタイン含有量は塩処理により上昇するのに比べリグニン量は変化しなかった。これらの結果は、この植物の葉においてAnSAMSの転写量はベタインの合成のために調節されていることを示唆している。
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© 2004 日本植物生理学会
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