日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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細胞質分裂を正に制御するシロイヌナズナANR1 MAP キナーゼの同定
*征矢野 敬高橋 祐治笹部 美知子北村 さおり町田 泰則
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p. 148

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抄録
我々は、NPK1 MAPKKK、NQK1 MAPKK、NRK1 MAPKを構成因子としたタバコのMAPKカスケードを同定している。このカスケードは、NPK1がNACK1キネシン様タンパク質と結合することによって、細胞周期M期後半に活性化される。この経路をNACK-PQRと提唱している。NACK1/NPK1複合体及びNQK1は隔膜形成体に局在しており、これらの機能を阻害したタバコやこれらのシロイヌナズナ・ホモログの変異体では、細胞板の形成が阻害されるために不完全な隔壁を持った多核細胞が観察される。これらの結果から、NACK-PQR経路は細胞板形成を正に制御していると示唆される。しかし、NRK1の生物学的機能は分かっていない。今回、我々は、シロイヌナズナのNQK1ホモログ(ANQ1)がin vitroで特異的にリン酸化するMAPKを同定し、ANR1と命名した。さらに、anr1変異体を分離し、その表現型を観察した。anr1変異体は、矮性を示し、根表面に大きな細胞の突出が観察された。また、anr1変異体の組織では、不完全な隔壁と複数の核を持った大きな細胞が観察された。これらの形質は、atnack1及びanq1変異体の表現型と一致していた。これらの結果から、ANR1はANQ1の下流で細胞板形成を正に制御していると考えられ、このことはNACK-PQR経路の考え方と一致する。
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© 2004 日本植物生理学会
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