日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ花粉特異的に発現するMADS-box遺伝子の機能解析
*青野 直樹住川 直美長谷部 光泰
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p. 180

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抄録
被子植物のMADS-box遺伝子は花器官形成を中心に発生過程の様々な段階に関与している転写遺伝子である。我々はシロイヌナズナに存在する全MADS-box遺伝子の網羅的発現解析により、複数の遺伝子が雄配偶体である花粉で特異的に発現していることを明らかにした。また花が咲かないシダ植物、コケ植物、緑藻類では卵精子成熟時にMADS-box遺伝子が発現していることが示唆されている。以上のことからMADS-box遺伝子は卵精子形成時における機能を進化的に保持していると考えられる。そこで我々は様々な植物の配偶体でMADS-box遺伝子の解析を行うことで、卵精子形成時において進化的に保持されている機能の解明を目指し研究を進めている。本大会ではシロイヌナズナの研究に関して報告する。
シロイヌナズナの花粉で特異的に発現しているMADS-box遺伝子の多くがMIKC*型の遺伝子であったことから、MIKC*型の3つの遺伝子に着目し解析を進めている。各遺伝子のtag挿入変異株で表現型の変異は観察されなかったが、各系統をかけ合わせた三重変異株ではin vitroにおいて花粉の発芽が抑制されることが明らかになった。しかし通常の受粉過程においては野生株同様に受精し正常な種子を形成した。現在変異原因を解明するためにマイクロアレイ解析を行っており、MADS-box遺伝子の発現解析および花粉形態の変化と併せて報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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