日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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生殖器官を恒常的に形成するゼニゴケ変異体の単離と解析
山岡 尚平竹中 瑞樹葉名尻 勤清水(上田) 木綿西田 浩之*大和 勝幸福澤 秀哉大山 莞爾
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p. 183

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抄録
雌雄異株植物であるゼニゴケ Marchantia polymorphaは、長日条件で生殖成長に移行し、葉状体上に生殖器官を形成する。しかし、ゼニゴケのような下等陸上植物において、栄養成長から生殖成長への移行を制御する遺伝子はまだ同定されていない。そのような遺伝子を探索するため、パーティクルガン法を用いてハイグロマイシン耐性遺伝子をゼニゴケ雄ゲノムにランダムに挿入し、約2,100のタグラインを作成した。その中に、恒常的に生殖器官を形成する変異体hpt2040を見いだした。この変異体の雄生殖器官および精子は形態的に正常であり、雌野生株との交配でF1世代を生じた。F1株には、変異表現型を示す雄個体とともに、雌生殖器官を恒常的に形成する雌個体も観察された。このことから、hpt2040変異は雌雄両方の生殖器官の形成に関わることが明らかとなった。hpt2040変異に関わる遺伝子座の数を検討するため、F1における表現型の分離比の検定を行ったところ、 雄変異型:雌変異型:雄野生型:雌野生型 = 1:1:1:1の分離比を示した。以上の結果より、hpt2040変異が常染色体上の1遺伝子座の変異であることが明らかとなり、その遺伝子座がゼニゴケにおいて栄養成長から生殖成長への移行を制御している可能性が示唆された。(Sex Plant Reprod, in press)
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© 2004 日本植物生理学会
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