日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ細胞質雄性不稔稔性回復遺伝子によるB-atp6 RNAの転写後制御
*風間 智彦鳥山 欽哉
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p. 186

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抄録
インディカ品種Chinsurah Boro IIの細胞質をもち、ジャポニカ品種である台中65号の核遺伝子を持つイネはBoro型細胞質雄性不稔を示す。しかし、この雄性不稔系統では、第10染色体に存在する1個の稔性回復遺伝子(Rf1)が配偶体型で機能することで、花粉稔性が回復する。また、ミトコンドリアにコードされているキメラ遺伝子B-atp6が雄性不稔性の原因遺伝子として指摘されている。B-atp6 RNAは、雄性不稔系統では2.0kbであるが、回復系統やF1では、プロセッシングを受けて1.5kbと0.45kbとなることが知られている。マッピングによって狭めた領域に座乗する遺伝子のなかから、雄性不稔系統に導入した際にB-atp6 RNAのプロセッシングが起こるような遺伝子をスクリーニングした。この結果、PPRモチーフをコードする遺伝子PPR8-1を導入したときのみプロセッシングが観察された。さらに、この遺伝子PPR8-1を導入した個体では花粉稔性、種子稔性ともに回復した。以上のことから、PPR8-1が稔性回復遺伝子Rf1であり、雄性不稔性の原因遺伝子がB-atp6であることが分かった。また、稔性回復遺伝子近傍にはPPRモチーフをコードし、Rf1と相同性の高い遺伝子PPR8-2, PPR8-3が存在するが、これらの遺伝子は相同性が非常に高いにも関らず、B-atp6 RNAのプロセッシングや稔性回復には関与しないことが明らかとなった。現在、これらの遺伝子とB-atp6 RNAの転写後制御についての解析を行っている。
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© 2004 日本植物生理学会
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