日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

アブシジン酸 8'-位水酸化を触媒するシトクロム P450 の同定と機能解析
*齋藤 茂樹松本 ちあき平井 伸博大東 肇太田 大策水谷 正治坂田 完三
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 193

詳細
抄録
【目的】アブシジン酸 (ABA) は、シトクロム P450 (CYP or P450) により 8'-位が水酸化され、さらにファゼイン酸 (PA) へと異性化されて不活性化される。しかしながら不活性化に関わる酵素および遺伝子は単離されていない。我々は CYP707A が (+)-ABA 8'-位水酸化酵素であることを同定したので報告する。
【結果および考察】シロイヌナズナに存在する全 4 種類の CYP707A 遺伝子の発現レベルは ABA、高塩、高浸透圧処理により増加した。そこで、CYP707A を発現している昆虫細胞に (+)-ABA を投与したところ、PA と 8'-hydroxy ABA が検出された。組換え CYP707A3 酵素の (+)-ABA に対する速度論定数は、Km = 1.3 μM、kcat = 15 min-1 であった。また、酵素反応液を直接 HPLC 分析したところ、PA への異性化は触媒せず、ABA 8'-位水酸化のみを触媒することがわかった。次に、CYP707A3 可溶化上清に (+)-ABA を添加すると基質結合スペクトルが得られた (Ks = 3.5 μM) が、(-)-ABA では得られなかった。以上より CYP707A は (+)-ABA 8'-位水酸化酵素であると結論付けた。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top