日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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cDNAマクロアレイにより同定されたジャスモン酸類応答性代謝遺伝子群とそれらの経路で合成される代謝産物の解析
*関本(佐々木) 結子多木 希大林 武櫻井 望鈴木 秀幸青野 光子野路 征昭斉藤 和季高宮 建一郎柴田 大輔太田 啓之
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p. 204

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抄録

 ジャスモン酸(JA)やメチルジャスモン酸(MeJA)等のJA類は、病傷害応答や老化、葯の開裂に関与するシグナル物質として知られている。本研究ではこれまでにMeJAに応答する遺伝子群として、JA生合成遺伝子群、トリプトファン生合成遺伝子群、オーキシンやサリチル酸の代謝に関与する遺伝子を報告してきた。
 今回、JA類に応答する遺伝子群をさらに大規模に同定するために、13,516 EST(8,384遺伝子相当)をスポットしたcDNAマクロアレイを行い、JA類に応答する300遺伝子座を得た。得られたJA類応答遺伝子群を推定された機能ごとに分類するために、まずアミノ酸や二次代謝産物の合成に関与する遺伝子群に着目した。その結果、先に報告した遺伝子群に加え、オーキシン生合成、インドールグルコシノレイト生合成、硫黄同化、グルタチオン生合成、およびアスコルビン酸の代謝に関わる遺伝子群が見出された。さらに詳細にJA類応答遺伝子群を解析した結果、これら代謝経路のほぼ全てのステップにおける遺伝子の発現がJA類により誘導されることが明らかになった。含硫化合物の定量やアスコルビン酸再生系に関わる酵素活性の測定から、ジャスモン酸類が実際に生体内でこれらの代謝経路を活性化することが示唆されたため、その結果について報告する。

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© 2004 日本植物生理学会
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