日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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FTIRによる光化学系IIにおける第二キノン電子受容体QBの構造と反応の解析
*長坂 将明杉浦 美羽野口 巧
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p. 217

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抄録
光化学系IIにおいて、第二キノン電子受容体(QB)は、第一キノン電子受容体(QA)により還元され、さらに二電子還元の後、プロトン化されてキノール分子として蛋白質より遊離する。こうしたQBの機能発現と、系II蛋白質のQB結合部位の構造との関係は未だ明らかとされていない。そこで本研究では、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用い、QB結合部位におけるプラストキノン分子の構造と、QBの一電子還元の際の近傍蛋白質の構造変化について調べた。
ホウレンソウまたはラン藻より調製した光化学系II標品を用い、酸素発生系とQB間のFTIR差スペクトル(S2QB-/S1QB)と、酸素発生系のみの差スペクトル(S2/S1)を測定し、二重差スペクトルを計算することにより、QB-/QB差スペクトルを得た。このスペクトルには、セミキノンアニオンのCO伸縮振動によるバンドが1480 cm-1に観測された。この振動数はQA-のCO振動数よりも2 cm-1高く、QB-とQA-ではCO基の水素結合強度が異なることが示された。また、QB-/QBスペクトルには、1747 cm-1にCOOH基のC=O伸縮振動由来の正のバンドが観測され、QB-生成に伴い、近傍のAspまたはGlu側鎖がプロトン化を受けていることが明らかとなった。
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© 2004 日本植物生理学会
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