日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナSRK2EプロテインキナーゼはABA・浸透圧ストレス双方で活性化される
*吉田 理一郎梅澤 泰史高橋 史憲篠崎 一雄
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p. 258

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抄録
アブシジン酸(ABA)の情報伝達には、タンパク質リン酸化が重要である。我々は、その中枢を担うシグナル因子としてシロイヌナズナSnRK2プロテインキナーゼ(SRK2A~J)に注目し、その一つであるSRK2E/OST1がABAによる孔辺細胞の閉鎖に関与することを明らかにした1)。細胞レベルにおける活性化プロファイルを調査するため、SRK2E/OST1を過剰発現させたシロイヌナズナT87培養細胞を作成し解析に用いたところ、SRK2E/OST1はABAのみではなく浸透圧ストレス(OS)でも活性化されることが明らかにされた。そこで、このOSによる活性化がABAを介したシグナル経路に依存するか否かを、ABA非感受性変異体およびABA欠損変異体を用いて検討した。その結果、abi1-1はABAによるSRK2E/OST1の活性化を強く阻害するがOSによる活性化には影響しないこと、そして、aba2-1およびNCED3遺伝子破壊変異体でのOSによる活性化は正常であることが確認された。また、SRK2E/OST1のキナーゼドメイン以外のNおよびC末端領域を除いたコンストラクトを培養細胞で過剰発現させたところ、C末端のある領域がABAを介した活性化に重要であることが確認された。これらの結果は、ABAおよびOSによるSRK2E/OST1の活性化が互いに異なる経路により制御されることを示唆しており、今後、上流因子あるいは活性化機構を解明するための糸口になるものと期待される。
1) Yoshida et al. (2002) Plant Cell Physiol. 43(12): 1473-1483
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© 2004 日本植物生理学会
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