日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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オゾンを暴露したシロイヌナズナにおけるサリチル酸合成の調節
*小川 大輔中嶋 信美玉置 雅紀青野 光子久保 明弘鎌田 博佐治 光
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p. 300

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抄録
サリチル酸(SA)の合成経路には、フェニルアラニンを前駆体とする経路とイソコリスミ酸を前駆体とする経路があることが知られている。昨年私たちは、タバコを用いてオゾン(O3)暴露時に生成するSAがどちらの経路で合成されるのかについて調べ、フェニルアラニンを前駆体としてSA合成が起こることを示した。また、タバコではO3暴露時、エチレンがSAの合成を促進していることを発表した。
今回私たちは、O3を暴露したシロイヌナズナで、エチレンとSAの関係性を調べた。まず、O3暴露したシロイヌナズナのSA合成経路を知るため、イソコリスミ酸合成酵素が欠損した突然変異体sid2のO3暴露時のSA蓄積量を調べた。野生型ではSA量が増加したのに対し、sid2では増加しなかったことから、シロイヌナズナではイソコリスミ酸を介した経路でSAが合成されることが明らかになった。エチレンシグナルが欠損した変異体etr1およびein2では野生型に比べSA蓄積量が増加したことから、シロイヌナズナではエチレンがETR1やEIN2を介してSA合成を負に制御していると考えられる。あるいは、etr1およびein2ではO3暴露時のエチレン生成量が野生型よりも多かったことから、エチレンがETR1を経ない別のエチレンシグナル経路でSA合成を促進している可能性も考えられる。

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© 2004 日本植物生理学会
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