日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ種子発芽を促す遺伝子のジベレリン酸シグナリングによる可動
*鷲尾 健司
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p. 307

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抄録
ジベレリン酸(GA)の作用は、情報伝達の末端で抑制因子である DELLA タンパク質の機能を解除することにより発現することが知られている。穀物種子の糊粉層細胞でも、このタンパク質が機能していることは確認されているが、DELLA タンパク質の消失から、GA の生理作用発現までの道筋は断片化している。発芽種子での DELLA タンパク質の具体的な機能を推定するため、糊粉層細胞の GA 初期反応遺伝子である GAMybOsDof3 との機能的な接点を探索した。初期反応遺伝子より調製した発現調節領域は、GA に依存したレポーター活性の上昇を示したが、5’上流域からの欠損実験により、顕著な GA 誘導性を与えるシス配列の存在は確認できなかった。5’上流域を CaMV35S プロモーターと置換しても、依然として GA 誘導性は保持されたので、初期反応遺伝子の GA 応答性は、プロモーター上流域に依存しないことが推定される。CaMV35S プロモーターとの互換性実験により、コアプロモーター領域に抑制効果、第1イントロン内に促進効果を見出しており、このいずれの領域も、DELLA タンパク質の共発現による抑制作用の標的となっていた。これら多彩な調節ドメインの存在は、DELLA タンパク質を中心とした初期反応遺伝子の発現に関わる複雑な調節機構の存在を予見させる。
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© 2004 日本植物生理学会
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