抄録
コリンモノオキシゲナーゼ(CMO)は、コリンをベタインアルデヒドに酸化する酵素で植物のベタイン合成のキーエンザイムといわれている。植物から精製したCMOは失活しているためか異常に活性が低い。そこでホウレンソウからコリンモノオキシゲナーゼ遺伝子を単離し、その分子的性質について検討した。コリンモノオキシゲナーゼ遺伝子はホウレンソウのcDNAライブラリーからPCR法で単離した。単離した遺伝子をpETベクターに組み込み、大腸菌で発現させた後、精製し抗体を作成した。大腸菌のbetオペロンのコリンデヒドロゲナーゼ遺伝子をCMO遺伝子に交換してもベタインを蓄積したが、CMOのCys181、His287を他のアミノ酸に変えると蓄積しなかった(J. Biol. Chem., 277, 41352-41360 (2002))。コリンモノオキシゲナーゼ遺伝子をアラビドプシスに導入した形質転換植物を作出した。また、ホウレンソウのコリンモノオキシゲナーゼとベタインアルデヒドデヒドロゲナーゼの両遺伝子をアラビドプシスに導入した形質転換植物も作出した。これら形質転換植物の塩・高温・低温等のストレスに対する耐性について検討した結果についても報告する。