日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの穂数を規定している遺伝子単離に向けた第二染色体上のQTLに関する連鎖解析
*小原 実広樫葉 健二永野 篤舘下 典晃蛯谷 武志矢野 昌裕佐藤 雅志山谷 知行
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p. 393

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抄録
日本型イネの日本晴とインド型イネのカサラスに由来する、98系統のBILsを用いた解析より、第二染色体上のDNAマーカーC777近傍に、穂重量を規定しているQTL が統計学的に検出された。このQTLは、カサラスの対立遺伝子が穂重を増加させる効果があることが判明した。そのQTLを含む約50 cMの領域のみが、カサラス由来の染色体に置換された系統C-22を選抜し、ガラス室内にて基肥窒素処理を行い、育成した。遺伝背景であるコシヒカリに比較して、C-22の個体あたりの分げつ数、穂数、穂重量はいずれも有意に増加していた。C-22における穂重量の増加は、穂数の増加に起因しており、栄養成長初期の分げつ数の増加が穂数の増加につながったことが考えられた。本研究では、イネの穂数を規定している遺伝子の同定を目的として、QTL領域を狭めるために組み換え個体の選抜を行うとともに、幼植物期での分げつの抽出に関する連鎖解析を行った。
C-22のカサラス置換領域内で、染色体の組み換えが認められた9系統を選抜し、遺伝子型が固定されるまで育成した。幼植物期の分げつの抽出に関して連鎖解析を行ったところ、穂数を規定しているQTLは、DNAマーカー2-S1522-S173の間、約10 cMの領域に検出された。現在、両マーカー間で組み換えが認められた系統を選抜、育成し、さらなるQTL領域の限定を行っている
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© 2004 日本植物生理学会
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