日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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窒素固定型ラン色細菌Nostoc sp. PCC 7422の取り込み型ヒドロゲナーゼ遺伝子(hupL)破壊の水素生産に及ぼす効果
*吉野 史記櫻井 英博
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p. 400

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抄録
われわれはAnabaena sp. PCC 7120をもちいたラン色細菌による光生物的水素生産の遺伝工学的改良において、取り込み型ヒドロゲナーゼHupの遺伝子破壊が有効であることを示した。この方法が他のラン色細菌株においても有効であるか否かを調べるため、内外の株保存センターが保有するヘテロシスト型15株について水素生産活性と、Hup及び双方向性ヒドロゲナーゼ(Hox)の分布を活性及び遺伝子の両方から調べた。Nostoc sp. PCC 7422株は比較的高い水素生産活性を示し、またHox活性が極めて低かったので、これを材料としてhupの破壊と、その水素生産に及ぼす影響を検討した。hupの遺伝子破壊のために、ゲノムライブラリを作成し、hupSLのクローニングおよび遺伝子配列の決定を行った。また、その転写開始点を5’-RACE法により調べた。Nostoc sp. PCC 7422には2種の制限酵素が存在することが報告されているので、制限酵素部位を除去した破壊プラスミドを作成し、これを用いて接合法により破壊株(ΔhupL株)を作製、単離した。ΔhupL株は野生株の約10倍の水素生産活性を示し、最大活性は50-70 μmoles H2 (mg Chl) -1 hr-1に達し、このラン色細菌株においてもhupの破壊がニトロゲナーゼに基づく水素生産性の向上に有効であることが示された。
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© 2004 日本植物生理学会
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