抄録
光合成細菌 Rhodobacter sphaeroides のSPBは好気的条件下、または強光照射下で puf オペロンの上流域に結合し、その転写を抑制する因子として同定された。その後の解析からSPBは単独ではなく他の因子と相互作用して、puf オペロンの転写抑制に関与することが示唆された。そこで我々はSPBと相互作用する因子の探索を試み、その結果、好気的条件下でSPBと特異的に結合する新タンパク質(SIP)を同定した。SIPはSPBと35%の相同性を示し、DNA結合領域を含んでいた。さらにSPBがロイシンジッパーモチーフをもつという事実からSPBとSIPはヘテロダイマーをつくり puf オペロンの転写抑制に関与することが示唆された。また、SIPとSPBは、嫌気・(強/弱光)条件および(好気/微好気)・暗条件で定常的に発現していた。したがって、SPBとSIPの結合能は転写・翻訳後の修飾によって調節されることが示唆された。このことは、in vitro では SPB がリン酸化/脱リン酸化されることによってDNA への結合能が制御され、その結果SPBが転写を制御するという我々のこれまでの仮説と矛盾しない。今回は、in vivo および in vitro でのSPBおよびSIP のリン酸化とヘテロダイマー形成能との解析結果についても報告する予定である。