抄録
アクティベーションタグラインは、従来の遺伝子欠損型の変異とは異なり、遺伝子発現の増強による変異をもたらす方法である。この方法は、植物に機能付加をもたらすことが期待され、特に環境に対する耐性変異探索に適している。理研GSC植物ゲノムGでは、約50000系統以上のアクティベーションタグラインを作成し、共同研究によって遺伝子機能解析を行っている。
このアクティベーションタグラインの性質を利用して紫外線に対する感受性変異体の単離を試みた。具体的には、発芽後、14日目の植物体にUV-B(0.25W/m2)と白色光(6W/m2)を35時間照射し、その後16時間明/8時間暗条件で3日間生育させて、本葉の白化率を主な指標に選抜を行った。T2種子を個別に生育させ、当代における優劣性の判定を行うことで迅速に変異体選抜を行った。予備実験として行った約5,000ラインから、野生型と比較して明らかに紫外線に耐性を持つ変異体と、紫外線に感受性を増した変異体を単離した。本発表では、これらの変異体から得られた知見について報告する。