日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ベタシアニン合成に関わる配糖化酵素遺伝子についての報告
*佐々木 伸大香田 隆俊足立 泰二小関 良宏
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p. 515

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抄録
 これまで、ベタシアニンはアグリコンであるベタニジンが生成された後に配糖化されることによって合成されると考えられてきた。しかしながら、オシロイバナ(Mirabilis jalapa L.) の花弁から調整した粗酵素液においてベタニジンの前駆体物質である cyclo-DOPA を配糖化する酵素活性が見出された。このことにより、ベタシアニンはベタニジンというアグリコン中間体を経ずに合成される経路が存在することを示した。そこで、本研究においては cyclo-DOPA をコードする遺伝子の単離及びその解析を試みた。
 フラボノイド配糖化酵素遺伝子の共通のモチーフをもとにdegenerate プライマーを設計し、オシロイバナの花弁から構築した cDNA ライブラリーを鋳型とするPCR 法を用いて、13種類のフラボノイド配糖化酵素相同遺伝子を獲得した。それらを大腸菌発現系を用いて酵素タンパク質を発現させ、cyclo-DOPA 配糖化酵素活性について検討したところそれらのうちの1種類について、この活性が検出された。そこで、この cDNA をについてノーザンブロット解析を行ったところ、各組織及び花の各ステージにおいてベタシアニンの蓄積量との相関が見られた。このことから、植物においてベタシアニンは cyclo-DOPA の段階で配糖化されてから合成される経路が存在することが強く示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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