抄録
集材作業の無人化により伐出作業の労働生産性を向上させることを目的として、自動走行フォワーダを試作開発した。試作機は以下に示す3つの特徴を有する。①作業道上の走行だけではなく、土場における荷おろし作業も自動化されているが、先山における積込作業は有人作業で行う。②既存の作業道を利用できるように、スイッチバック走行も可能な電磁誘導方式による自動走行機能を有する。③作業員が搭乗して運転するときと同じ速度で自動走行可能とすることで、作業能率を落とさない。開発した試作機を用いて集材作業試験を行った結果、先山における積込作業等の有人で行わなければならない作業時間は、一日の約3分の1程度となることが分かった。既存作業道の幅員拡幅工事等を必要としない精度で、試作機は作業道上を走行可能であった。しかしながら、一日の集材量を土場に貯めておくには、椪積み作業の行えない荷おろし機構を採用している試作機では広い土場が必要であった。自動走行フォワーダを用いた無人集材作業は出材量が大きく、集材距離が長いほど、労働生産性の向上に貢献できる可能性がある。今後、自動走行に必要な電線の敷設等付帯作業を含めた生産性向上のために、積込作業と造材作業の兼務試験とともに、積込作業の自動化に向けた研究が必要である。