日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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PAP1遺伝子過剰発現体を用いた網羅的解析によるアントシアニン蓄積機構の解明 (2) ―候補遺伝子機能の解明―
*西山 泰孝峠 隆之北山 雅彦山崎 真巳斉藤 和季
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p. 519

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抄録
 アクティベーションタグラインpap1-Dは、Myb様転写因子をコードするpap1を過剰発現している変異体であり、アントシアニンおよびフラボノールを特異的に高蓄積する。したがって、この変異体で発現が増加している遺伝子はアントシアニンの生合成および蓄積に関与していると考えられる。転写産物のマイクロアレイによる解析を行ったところ、野生型と比較してアントシアニン生合成経路を構成する酵素群、およびMybやWRKYなどの転写因子をコードする遺伝子の発現が増加していることが確認された。これらに加え、機能不明の配糖化酵素、アシル基転移酵素、グルタチオンS-転移酵素をコードする遺伝子の発現も増加しており、これらがアントシアニンの修飾および蓄積に関与することが示唆された。
 本研究では、転写産物と蓄積代謝物の網羅的解析の統合の結果を詳細に解析し、機能が推測される遺伝子について、その機能の解析を行った。特に誘導体化に関与すると推測された糖転移酵素遺伝子群の機能の解析を行った。
 大腸菌で発現させた組み換えタンパク質を用いて、各種アントシアニジン誘導体を基質とした配糖化酵素の活性を検出した。これら糖転移酵素の基質特異性の解析により、植物体中でシアニジンが受ける修飾の経路について論じる。さらにこれら遺伝子の欠損したシロイヌナズナ変異株における蓄積代謝物の網羅的解析を行い、当該遺伝子が植物体内において果たしている機能を特定する。
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© 2004 日本植物生理学会
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