日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ培養細胞から純化した液胞膜のプロテオーム解析
*嶋岡 泰世大西 美輪三橋 尚登横田 明穂富澤 健一三村 徹郎
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p. 577

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抄録
植物細胞における液胞機能の多くは液胞膜を介した液胞内液と細胞質間の物質移動により成り立っている。したがって、液胞膜には液胞の代謝機能を支える多くのトランスポーターやチャネルの存在が考えられる。しかし、これまでに分子レベルで存在が確認されている液胞膜タンパク質は少なく、液胞機能の解明にはさらなる液胞膜タンパク質の解析が必要である。我々はこれまでにシロイヌナズナ培養細胞から高度に純化した液胞膜を回収することに成功している(2003奈良大会)。本研究では、その液胞膜を用いて、液胞膜のプロテオーム解析を行った。回収した液胞膜タンパク質を膜表在画分と膜貫通画分に分画し、それぞれの画分に含まれるタンパク質をSDS-PAGEにより分離した。分離したタンパク質をトリプシンで消化後、LC-MS/MS分析を行い、タンパク質を同定した。その結果、膜表在画分で約90種、膜貫通画分で約100種のタンパク質を同定した。そのうち、両画分に共通して見いだされたタンパク質は約30種であった。同定したタンパク質には液胞膜タンパク質として代表的なV-H+-ATPase、V-H+-PPaseのほか、各種トランスポーターや未知の膜貫通タンパク質などが含まれていた。細胞質やその他のオルガネラ膜の既知タンパク質の混入はほとんど見られなかった。本結果は今後の液胞研究において重要な情報源となることが期待できる。本研究の一部はCREST、NEDO/METI、科研費の支援による。
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© 2004 日本植物生理学会
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