抄録
配水区域入口に設置している流量計データの急激な上昇で管路破断の漏水事故検知は可能であるが,地上に現れない漏水の場合にはその位置を迅速に特定することは困難である.そこで本論文では,管路破断時に生じる周辺の水圧変化を秒周期で捉え,管網モデルといった配水管網のネットワーク構造のデータを用いることなく,複数水圧計間の反応時間差から漏水事故が発生した位置を推定する方法を提案する.
提案手法の有効性を北九州市上下水道局の破断事故事例データで分析し,配水ブロック20km2の範囲内に4つの水圧計が設置されている場合には,事故位置を0.1km2まで限定できることを確認した.管網モデルを利用する必要が無く自動化も比較的容易であることから,今後システム化を見据えた検討を進める.