日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコBY-2細胞の原形質分離と細胞伸長における液胞構造変化の定量的解析
*朽名 夏麿佐野 俊夫馳澤 盛一郎
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p. 581

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抄録
 液胞は高等植物の多くの細胞で生長にともなって発達し,体積の大半を占める.しかし細胞の形態変化における液胞構造の関与についての定量的な解析はあまりなされていない.我々はこれまでに,液胞膜に局在するシロイヌナズナのSNAREタンパク質であるAtVam3pとGFPの融合タンパク質を発現するタバコBY-2細胞の形質転換株BY-GV7を液胞の観察系として確立するとともに,連続光学切片からの立体再構築ソフトウェアSSRの開発を進めてきた.それにより,液胞は単純な袋状ではなく複雑な立体構造をとっており,細胞分裂や細胞周期の進行にともなってその形状が刻々と変化していることがわかってきた.
 本研究では細胞の形態変化における液胞の寄与を明らかにするために,細胞の形が著しく変化する原形質分離や細胞伸長の誘導系を用いて,液胞の立体構造と動態を得た.とくに立体再構築を介して一細胞レベルで液胞の体積や表面積を導出し,液胞の空間充填作用を定量的に解析した.その結果,原形質分離による細胞体積の変動をほぼ完全に液胞が担っていること,体積変動に関わらず液胞の表面積が一定に保たれていることなどの知見が得られた.さらに現在,このような細胞と液胞の構造変化について,計算力学的な手法を用いて検討を行なっている.
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© 2004 日本植物生理学会
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