日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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強光・低温により発現するイチイ(Taxus cuspidata)遺伝子の網羅的同定
*宇梶 徳史原 登志彦
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p. 627

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抄録
細胞内レドックス状態の変化は、抗酸化作用を通じた直接的なストレス防御機構に加えて、植物の様々なライフサイクル制御に関与することが近年報告されている。特に北方圏に生育する植物は、気温の低下により吸収した光エネルギー利用効率が減少し葉緑体内が過還元化する、というレドックス状態の変化を受け易い。私たちは、北方圏に生育する植物は、細胞内レドックス状態の変化をそのライフサイクルを制御する情報として用いているのではないかと考えている。この仮説を実証する一環として、北方林樹木であるイチイ葉における強光・低温誘導性遺伝子の網羅的同定を行っている。
 4月に野外に生育するイチイ枝を採取し、700μE m−2 s−1・4℃で24時間、強光・低温処理を施した。採取した葉を材料としてcDNAライブラリーを作製し、ランダムにピックアップした400bp以上のインサートを有する1,000クローンについて、5‘側から塩基配列の決定を行った。同定した遺伝子の約1/5は光合成に関連する遺伝子であり、特に光化学系Iをコードする遺伝子が多く同定された。また、グルタチオン合成を制御する遺伝子群、花芽形成促進因子であるFT遺伝子、AP2/EREBPモチーフを有する遺伝子などが単離・同定された。今後、更なる遺伝子の単離・同定を進め,北方林樹木のライフサイクル制御機構の解明につなげたいと考えている。
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© 2004 日本植物生理学会
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