抄録
isopetenyladenine (iP)型サイトカイニンからtrans-zeatin (tZ)型サイトカイニンへの水酸化の過程はシトクロムP450により触媒されると考えられている。本研究ではこの水酸化酵素の遺伝子を単離することを目的とし以下のようにスクリーニングを行った。サイトカイニン生合成の最初の反応を触媒する酵素であるイソペンテニルトランスフェラーゼ (IPT)を酵母で発現すると培地中にiP型サイトカイニンを放出することが分かっていた。この酵母においてiP型サイトカイニンの水酸化に関与するP450を供発現させるとtZ型サイトカイニンが培地中に放出すると予想された。そこでシロイヌナズナ由来のIPT遺伝子とP450へ電子を供給する酵素遺伝子ATR1を発現する酵母を作製し、この株にシロイヌナズナのP450遺伝子を発現させ、培地中のサイトカイニン組成を解析した。この方法によりiP型サイトカイニンの水酸化酵素遺伝子の候補として二つのP450遺伝子が得られた。さらに、これらの遺伝子を発現させた酵母から調製したミクロソーム画分にiP型サイトカイニンをtZ型サイトカイニンに変換する活性のあることを確認した。現在、これらの遺伝子の発現部位の解析及び過剰発現株の作製、ノックアウト株のスクリーニングを進めている。