日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナにおける3つのサイトカイニン受容体の破壊株の解析
*樋口 雅之Ari Pekka MahonenKirsi Tormakangas宮脇 香織橋本 由香里加藤 友彦田畑 哲之Yka Helariutta柿本 辰男
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 748

詳細
抄録
 サイトカイニンは細胞の増殖・分化に重要な役割を担っている植物ホルモンである。そのサイトカイニン情報伝達は、ヒスチジンキナーゼであるサイトカイニン受容体によって開始される。
 シロイヌナズナには三つのサイトカイニン受容体CRE1/WOL/AHK4、AHK2、AHK3があり、これらの遺伝子破壊株について解析を行った。その結果、不定根誘導の阻害作用では、CRE1/WOL/AHK4AHK3それぞれの破壊株についてサイトカイニン感受性が低下したのに対し、AHK2破壊株では低下しなかった。しかし、カルス誘導ではいずれの破壊株でもサイトカイニン感受性が低下しており、これらのサイトカイニン感受性は二重破壊株では更に低下した。またそれぞれの破壊株を生育させた場合、大きな形態異常は見られなかったが、AHK2AHK3二重破壊株では地上部が矮小となった。更に三重破壊株を作成したところ、興味深いことに不稔で植物体全体が非常に矮小となってしまうが、植物体としての基本的な形態は形成された。これらのことから、それぞれのサイトカイニン受容体間で機能の冗長性や特異性があること、及びサイトカイニンは植物にとって重要な因子であるが、その基本的な形態形成については必須ではないことがわかった。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top