抄録
植物ホルモンの一つであるサイトカイニンは、オーキシン存在下のカルスで細胞増殖や緑化を引き起こす。当研究室で単離されたサイトカイニン高感受性突然変異体ckh2(cytokinin-hypersensitive)はサイトカイニンが低濃度でも細胞増殖や緑化を示すため、CKH2はサイトカイニン応答の負の制御因子と考えられる。
ポジショナルクローニングによりCKH2遺伝子を同定したところ、SNF2のCHD3サブファミリーをコードするPICKLE遺伝子と同一のものだった。動物ではCHD3はヒストン脱アセチル化酵素複合体の構成因子であり、クロマチンリモデリングに関与している。PICKLEは胚の成熟に伴ってembryonicなプログラムを終了するのに必要であり、サイトカイニンはこの過程にも働いているかもしれない。
サイトカイニン受容体に欠損のあるcre1との二重変異体は相加的な表現型を示した。CKH2はサイトカイニン受容によるシグナル伝達経路とは独立に、サイトカイニン応答を制御していると考えられる。