日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ミヤコグサ根粒着生初期不全変異体における根毛の変形とアクチン微小繊維の動態
*吉川 真琴河内 宏高木 慎吾川口 正代司林 誠室岡 義勝
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 755

詳細
抄録
根毛の変形は根粒菌の侵入開始に必須な初期現象である。本研究ではマメ科モデル植物であるミヤコグサLotus japonicus Gifuと根粒着生初期不全変異体であるLjsym71およびLjsym73を用いて、根粒菌Mesorhizobium loti MAFF303099由来のNod factor処理による、根毛におけるF-アクチン骨格の挙動を蛍光ファロイジン染色により観察した。野生型において、処理後5分では根毛の先端部位の蛍光シグナルが徐々に弱くなり、10分ではケーブル状のF-アクチンが細くなり先端部位近傍に散在していた。しかし変異体では、接種後10分でもケーブル状のF-アクチンが先端部位近傍まで確認された。処理後1時間の野生型では根毛先端部位が膨潤し、再伸長を始めていた。また根毛内でのF-アクチンまたはアクチンケーブルの再構築が見られた。これに対し、変異体では根毛の変形が遅延し、またF-アクチンの挙動も野生型とは異なっていた。処理後2時間ではLjsym71は野生型とほぼ同じアクチンネットワークが再構築されていたが、Ljsym73ではアクチンネットワークの再構築が進んでおらず、野生型より遅れていた。変異体ではNod factorに対する応答が遅く、F-アクチン骨格の構築変化が不全なことから、秩序立ったアクチンネットワークの再構築は根粒菌感染に重要な役割を果たしていると考えられる。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top