日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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過酸化水素はタバコ種間雑種致死での致死シグナルとして作用する
*三野 真布安倍 真鈴木 徹横山 英史上中 弘典小川 健一森田 重人増村 威宏田中 國介井上 雅好
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p. 758

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抄録
タバコ種間雑種(Nicotiana gossei Domin x N. tabacum L.)は種子発芽後3日目で下胚軸基部から細胞死が開始し、これが全身に拡大して枯死する。致死反応は26℃で進行し37℃で抑制される。植物体で検出される O2-とH2O2の量は37℃より26℃で有意に増大した。26℃で培養した植物体へのマンガンデスフェリオサミンやSOD(O2-のスカベンジャー)の処理はO2-量を低下させるがH2O2量は低下させず、これらの処理は致死の進行を抑制しなかった。他方、ピリジンやDPI(NADPH酸化酵素の阻害剤:O2-とその不均化により生じるH2O2の発生を抑制する)処理はO2-量と共にH2O2量を低下させ、これらの処理は致死の進行を抑えた。イネのCuZn-SODと細胞質型アスコルビン酸パーオキシダーゼ(APX)を過剰発現する形質転換タバコを花粉親として、N.gosseiと交雑して得たF1雑種を解析した結果、CuZn-SODでは致死の進行が早まり、APXでは抑制されることが分かった。これらの事実から、タバコ種間雑種の致死発現では、O2-よりもH2O2が細胞死反応のシグナルとして作用することが明らかとなった。
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© 2004 日本植物生理学会
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