日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ネナシカズラの寄生根分化過程におけるプログラム細胞死関連遺伝子の発現解析
*高山 浩昭若杉 達也西本 淳古橋 勝久山田 恭司
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p. 760

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抄録
 ネナシカズラは、根も葉も退化した絶対寄生性被子植物である。このツル状の寄生植物は特殊な吸収器官(いわゆる寄生根)を形成し、宿主植物の地上部に侵入させる。我々は、ネナシカズラ寄生根の同調誘導系を確立しており、この実験系を用いて寄生根分化のしくみを調べている。これまでの組織観察の結果、寄生根分化過程の中後期に寄生根原基の特定部域の細胞が崩壊していくという事実が見いだされた。そこで本研究では、プログラム細胞死(PCD)に関連する既知の遺伝子群に着目して、それらが寄生根分化過程でどのような発現挙動を示すかを調べた。
 まず、ネナシカズラの寄生根組織からRNAを抽出し、一群のPCD関連遺伝子のcDNAの単離を試みた。その結果、3種類のプロテアーゼ遺伝子と2種類の老化関連遺伝子のcDNAクローンを得た。これらとすでに取得済みのエンドヌクレアーゼ遺伝子および3種類の細胞壁多糖分解酵素遺伝子のcDNAとを用いて、寄生根分化過程におけるそれぞれの遺伝子の発現パターンをRT-PCRによって解析した。調べた9種類の遺伝子のうちプロテアーゼ遺伝子の1種と老化関連遺伝子の1種とを除く7種の遺伝子の発現レベルが、細胞死の観察される発生時期に特異的に上昇することが明らかになった。以上の結果とともに、現在すすめているin situ ハイブリダイゼーションの結果についても報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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