日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのシスタチオニンγ-シンターゼ遺伝子における葉緑体移行に必要な領域の解析
*杉山 朋也尾之内 均内藤 哲
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p. 772

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抄録
シスタチオニンγ-シンターゼ (CGS) は植物におけるメチオニン生合成の鍵となる段階を触媒し、核にコードされ葉緑体に局在する酵素である。葉緑体に移行するにはN末端に葉緑体移行シグナルが必要である。また、CGSは第2エキソン以降の領域で酵素として機能し、第1エキソンはmRNAの安定性の段階で遺伝子発現のフィードバック制御に関与することが明らかになっている。特に、その中の十数アミノ酸からなる領域(MTO1領域)が重要であることが示されている。本研究では第1エキソンのどの部分が葉緑体移行に必要であるか、またCGS mRNAの安定性制御とどのような関わりがあるかについて調べることを目的としている。様々に欠失させたCGS第1エキソンとGFPの融合タンパク質をシロイヌナズナの葉に導入して一過的に発現させ、その細胞内局在を解析した。その結果、葉緑体移行には第1エキソン中央部の多くの植物で高度に保存されている領域とその前後の領域が関与しているが、その一部が欠けても移行は可能であることが明らかになった。また、葉緑体中のCGS第1エキソンとGFPの融合タンパク質のN末端アミノ酸配列を解析した。その結果、成熟タンパク質のN末端はMTO1領域の直後であった。このことから、CGSは酵素活性に不必要なmRNAの安定性制御領域を切り捨てて、葉緑体に移行すると考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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