抄録
植物におけるメチオニン生合成の鍵段階で働く酵素であるシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)は,メチオニン添加に応答してmRNAの安定性の段階でフィードバック制御を受ける.また,この制御機構においてCGS遺伝子の第1エキソン領域が必要十分な領域であることが明らかにされている.
この制御機構に関わる因子を遺伝学的に同定することを目的として,CGS遺伝子の第1エキソンとGFP遺伝子を繋ぎ,これをCaMV 35Sプロモーターの制御下においた融合遺伝子を持つトランスジェニック・シロイヌナズナを構築した.この形質転換体はメチオニンを添加した条件下ではGFP蛍光は低くなるため,これを親株として高いGFP蛍光を示す突然変異株の分離を行った.実際に導入遺伝子の発現量が増加しており,さらに,導入遺伝子の第1エキソンに塩基置換は生じていなかった4株を分離した.このうちの候補株#57ではCGS遺伝子の発現量も増加していた.さらに,CGS遺伝子の第1エキソンとGUS遺伝子を繋ぎ,CaMV 35Sプロモーターの制御下においた融合遺伝子を一過的に発現させたところ,親株と比較してメチオニン非添加時でも2倍,メチオニン添加時では4倍のGUS活性を示した.以上のことから,候補株#57はメチオニン添加に対する応答が弱くなった突然変異株であると考えられる.