日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アブラナ科植物の受粉時における乳頭細胞内アクチンの配行の変化
*岩野 恵三輪 輝彦柴 博史高山 誠司磯貝 彰
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p. 783

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抄録
自家不和合性は、柱頭と花粉の間の自己・非自己の認識反応により、自己の花粉の発芽、花粉管の伸長を阻害して自殖を抑制する機構である。本研究で用いるアブラナ科植物の自家不和合性は、1遺伝子座のS複対立遺伝子により支配されており、S遺伝子座上の柱頭側因子と花粉側因子の相互作用により誘起されると想定されている。これまでに柱頭側因子として受容体型キナーゼSRKが、また、花粉側因子として塩基性小型タンパク質SP11が同定された。そして、柱頭の細胞膜上に存在するSRKは同じS遺伝子座のSP11と結合すると、自己リン酸化し、そのシグナルを下流に伝達し、自家不和合性を誘起することが明らかとなった。しかし、リン酸化の後におこる乳頭細胞内での情報伝達系については明らかではない。自家不和合性反応の全容を明らかにするためには、和合・不和合受粉時におこる乳頭細胞内での生理反応を詳細に解析する必要がある。今回、乳頭細胞内の細胞骨格系が自家不和合性反応に関与するかどうかを明らかにするために、和合・不和合受粉後の柱頭を免疫染色し、アクチンと微小管の配行を共焦点レーザー顕微鏡により調べた。その結果、アクチンについて、受粉時に配行の変化がみられた。現在、アクチンの配行と不和合性反応との関連について解析中である。
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© 2004 日本植物生理学会
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