日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トレハラーゼ遺伝子アンチセンス導入によるトレハロース蓄積形質転換タバコにおけるストレス耐性
*河野 尚由増田 亮一若松 剛重宗 美保山内 靖雄稲永 忍田中 浄
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p. 797

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抄録
 トレハロースはグルコース2分子がα,α-1,1で結合した、非還元性の糖質で、菌類、藻類、酵母、昆虫など自然界に幅広く分布している。トレハロースはエネルギー貯蔵体としての役割だけではなく、様々な環境ストレス、特に脱水、凍結、高温、活性酸素ストレスに対する保護物質として働いている。高等植物においては、トレハロース合成能力を持っているにもかかわらず、体内に顕著なトレハロースの蓄積がみられない。これはトレハロースを加水分解するトレハラーゼの存在が大きいと考えられる。私たちは、トレハラーゼのアンチセンス遺伝子をタバコに導入し、トレハラーゼ遺伝子の発現を抑えることによって、トレハロース蓄積タバコの作出を行い、環境ストレスに対する耐性評価を行った。
 形質転換体植物は、コントロールに比べてトレハラーゼ遺伝子の発現とトレハラーゼ活性の減少がみられ、トレハロースの蓄積が確認された。これらの形質転換体植物は、乾燥、パラコート処理に対して非形質転換体植物よりも高い耐性を示した。またトレハロース含有種子はNaCl存在下及び、高温処理後において、非形質転換体植物よりも高い発芽率が観察された。
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© 2004 日本植物生理学会
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