日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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CRES-T法による植物特異的転写因子NACファミリーの網羅的機能解析
*光田 展隆平津 圭一郎高木 優
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p. 813

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抄録
植物特異的転写因子ファミリーであるNACファミリーは、PetuniaにおけるNo Apical Meristem(NAM)変異体の原因遺伝子として初めて単離された。シロイヌナズナでは100以上のNACファミリーに属する遺伝子が存在すると考えられているが、それらの大部分は機能が未知のままである。その原因のひとつとしてNACファミリーは機能重複した遺伝子が多数存在するため、1つの遺伝子に機能障害が生じても植物体に変異形質が現れないという可能性があげられる。例えば子葉の分離に関わるNAC遺伝子群はCUC1, CUC2, CUC3のうち少なくとも2つ以上に機能障害が生じないと変異形質が現れない。本研究では、転写因子のC末端に転写抑制化ペプチドを融合させた優勢的に働くキメラリプレッサーを植物体に過剰発現させる手法(CRES-T法)によりシロイヌナズナの全NAC遺伝子を解析している。その結果、子葉、がくなど植物の様々な組織の境界分離に関わるNAC遺伝子は、これまでに報告されたCUCファミリー(CUC1, CUC2, CUC3)だけではなく、多重に機能重複して存在していることが明らかになった。これまでの結果と植物組織の境界分離におけるNACファミリーの役割について考察する。
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© 2004 日本植物生理学会
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